NoName

Open App

遠くのほうでキラキラと青白く輝く木々がみえた。「もうそんな時期か。」と、信号待ちしている間、手持ちぶさたな私は他人事のように呟いた。大通りは賑わっていて、手を繋いでピンク色になったカップルや元気に走り回る子供とそれを見守る親子などが歩いていた。みんな幸せそうでふわふわした気持ちになる。信号が青になった。重いペダルに体重をかけながらも後ろに乗せているビンたちが割れないよう段差を慎重に降りる。青く使い古したウィンドブレーカーがシャッと擦れて音を立てる。私は細く暗い路地へ元気よく挨拶して入って行った。

12/15/2023, 2:27:09 AM