彗皨

Open App

沈んでゆく。
深く青い海に。私の白い肌が溶けていく。

死にたいと思って入った海。
最初は海の浅いところから体をつけていった。
段々水が暖かくなっていく。
足、腰、そして頭に水が浸かる。
砂に足は届かない。

青い空を深い海に溺れて見上げることしか出来ない。
長く黒い髪が私の視界を邪魔する。
「あぁ…このまま、沈んだら……」
ずっと望んでいた死を遂げることが出来る。

私は、あえて下を見なかった。
見てしまったら多分、少しだけ戸惑うと思ったから。

身体中の汗までもが浄化されていく真っ青な水。
段々と空が遠くなってゆく。
空に手を被せる。
手を上にあげても尚 私の思いを遮る水に少し吃驚する。
「笑……凄いや、」
見たことない景色に感じたことのない感情が私の胸を揺さぶる。

このまま目が覚めるまでに私が消えてしまえば楽なのに。



なんて。また夢を見た。
「また夢…」
今日もまた、「目が覚めるまでに消えれなかった。」

8/4/2023, 6:24:14 AM