ほむら

Open App

遠い日の記憶。それは、私たちが出逢った日のこと。もし、あの時私が彼を助けなかったら、彼を助けたのが別の人だとしたら。今の私たちは存在しないだろうと思うとゾッとする。彼にとっては泣き虫な自分の苦い思い出なのか、私と出逢えた日という幸せな記憶なのかどっちなんだろう。

「おや、ぼーっとしてどうしたのですか?」
「ううん、何でもない」

私は自分で思っている以上に考え込んでいたらしく、その様子に気づいた彼の声で現実に引き戻された。せっかくのおやつ時にネガティブな話をしたくない。彼が焼いてくれたホットケーキが冷める前に食べてしまおうと、私は考えることを止めた。

「私ね、あなたと出逢うことができて幸せだよ」
「いきなりどうしたんですか、俺も幸せですよ」

ただそれだけを伝えて、楽しい休日を過ごした。

テーマ「遠い日の記憶」

7/17/2024, 11:15:03 AM