clr

Open App

普段はあまりしないメッセージを送る
「話したいことがあります。夜時間つくれますか?」
メッセージは殺風景になりがちで、重くなってしまうこともあるからあまり好きではない

既読がついたかも、返信があったかもわからない
送るだけ送ってスマホもタブレットも見ていない
ただソファの側の地べたに座り込んでいただけ

強い風が顔をかすめて玄関のほうに目を向ける
彼は怯えたような顔で私を見つけてその途端急変した
「大丈夫か、何があった」
ゆっくりと頷いて答える
彼の瞳はいまだに動いていたが肩を掴んだ手は放してくれた
早かったなと思って時計をみると20時半を超えていた
6時間も同じ体勢でいたみたいだ

ご飯を食べ終えた彼と向き合う
食べてるときに話そうとしたら止められた
赤ちゃんの心拍が確認できないこと、流産の可能性が高いことを細切れながらになんとか声にして
健診結果を彼のほうにすべらす

何十分にも感じられる時間が過ぎてから彼は「うん」とだけ言った

「え、それだけ?悲しくないの?赤ちゃんいなくなったって言われたのに?何も感じないから?見えないから?いようがいなくなろうが関係ないの?私だけのじゃなくて、私たちの赤ちゃんなのに?」

「違う!」

私は驚きで肩を揺らして、口を閉ざすしかなかった

「ごめん、声大きくなった。でも、関係ないなんて思ってない。悲しくないわけない」

「じゃあなんで?私は勝手に涙出てきてとまらなくて、何もできなかったのに」

「泣かないよ。俺よりずっとつらいだろ。側で感じてたんだから。俺は泣かないから、泣いていいよ。よく一人で頑張ったな」

267

3/17/2026, 10:59:49 PM