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「足音」


どこからか足音が聞こえる。
私は息を潜めてやり過ごす。

此処に居る事、気付かれなかったよね?
気づかずに通り過ぎたよね?

最近ずっと誰かの視線を感じていた。
試す様な、品定めする様な、嫌な視線。
じっとりと、湿気を含んだ、嫌な視線。

さっきもその視線を感じて、なるべく私が気づいた事に気付かれない様に注意しながら、何とか撒いて此処に帰ってきた。

誰なの?
どうしてなの?
怖い。

不安だけが募る。
外の気配に耳をすます。

さっきの足音は遠ざかったまま。
きっと私に気付かずに去って行ったのだろう。
私のこの隠れ家までは知られてないのかもしれない。

このまま見つからなければ、いつまでも此処に隠れていてもいいのだけど、でも私にも生活があるからそんな訳にもいかない。
ただ怯えながら、日々を過ごすしかない。

でも、私は一人じゃないから、一緒に乗り越えよう?
貴方もそうでしょう?
私と居れば、怖い事なんてないよ?
だから、そんな怯えた目で私を見ないでよ。



8/18/2025, 11:44:33 AM