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スノー

陶器の肌とりんごの唇。肌にはできもの一つ無く、大きな瞳はブラックダイアモンドのよう。長いまつ毛に華奢な身体。白雪姫はこういう人だったのだろうか。私が彼女にあだ名をつけるなら白雪姫と呼びたい。嘘みたいな美貌は確かに女王を嫉妬で狂わせることなど容易いだろう。狩人は彼女を助けるだろうし小人も喜んで同居を許す。たとえ死体だとしても王子は彼女の唇に口付けをする、彼女はそんな人だ。白雪姫は心優しいか弱い乙女だ。彼女もそんな美貌を鼻にかけす優しくふんわりとした人だ。美しい人が優しいと下に見られる。それでもまわりの人が白雪にトラブルが降りかかる前に遠ざけるから、彼女はいつも竜巻の目だった。飛び抜けて容姿がいいと女から嫌われるが、白雪は男からも女からも好かれた。彼女と話した人は色んな人から睨まれるが一週間は自慢できる。みんな白雪と話したかった。それでも彼女は同じマンションであるというだけで私を選び、義務教育と高校時代を異物を入れることなく過ごした。私は彼女のことが好きだったが、同時に酷く疎ましかった。好きな人はみんな白雪に思いを寄せ、私を近付くきっかけにする。隣に並ぶなんてごめんで、比べたくもない。加工を通しても、明らかにはっきりと優劣がつく。それなのにそんな気持ちを墓まで隠し通したくなるのは私も彼女の虜だから。その笑顔が私以外に向けられることがないのが、私に劣等感と優越感を刻みつけるのだ。

12/12/2025, 1:14:45 PM