《まだ知らない君》
俺が男だとまだ知らない君へ。
大声で言えることではないが、俺はとあるネトゲでネカマとして遊んでいる大学生だ。
キャラ名はルナ。
そこで出会ったメルという女性に恋してしまったのだ。
自分がネカマなので、相手もネカマかもと疑ったが、1度通話をした時に完全に女性の声だったのでネカマの線は消えた。
俺はそんなに話さず頑張って高い声を出して風邪気味だといって誤魔化した、、。
メルも同じ都内で年も近い事はわかっている。
会いたい・・・。
正直見た目はどうなんだろう、という不安もあるがチャットでも通話でも話がとても合うので、恋人にならなかったとしても女友達になれるのではと思っている。
けど会ったら男とバレる。
でも好きだし付き合いたいと思っているのだから、男だとバラした方がいいのでは?
そうやってモンモンと悩みながら、ネトゲの中では女としてメルと楽しく遊んでいたが、二度目の通話の時にメルから「うーん?ルナちゃんほんとに女の子?声の感じが・・・」と言われたのだ。
ここでカミングアウトするべきなのでは、そして1歩先に進むべきなのでは、と思った俺は男だという事を白状した。
『騙していてごめんなさい・・・』
「いいよ、ルナちゃんが男の子でも変わらずゲームで楽しくやろうね!」
メル優しいっ
メルに許され調子に乗った俺はついに言った。
『メル、リアルで会ってみない?』
「え・・・」
『2人でお茶かランチでもしながらゲームの話とかしようよ!昼で人が多いところなら安心でしょ?』
「無理・・・」
『・・・やっぱり俺が男だから?』
「違うよっ」
『じゃあどうして?』
「・・・ごめん、ルナちゃんが正直に言ったから私も正直に言わなきゃね・・・、私60歳で孫もいるの、頑張って若い子のフリしてたの」
『え・・・』
おれはフリーズしてしまった。
自分がネカマだから、ネカマかどうかばかり気にしていて、まさか年齢を誤魔化されてたなんて思いもよらなかったからだ。
しかし俺も騙していたのだ、人のことをどうこうは言えない、、。
その後、会う話は流れ、ゲーム内でも何となく疎遠になってしまった。
早く現実が分かって良かったと酒に弱いくせに缶ビールを飲む日々がしばらく続いた。
はぁ・・・彼女ほしい・・・。
1/30/2025, 1:43:46 PM