よつば666

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お題『Ring Ring…』

 枕元に置いていた携帯から電話の着信音がリンリンと鳴っている。結構長いな……。急ぎかなそう思いながら船星(ふなぼし)は携帯を手に取り画面に表示された名前を確認する。

船星「大神?」

着信相手は同じクラスの大神だった。電話に出ると……。

大神『お〜。船星。やっと出よった。お前メール見てへんやろ?』

メールなんて届いていたのか。船星は病院から帰って来てレトルトのお粥を2つ口ほど食べ、医者から処方された風邪薬を飲んで寝ていたので全く気づいていなかったのだ。

船星「……うん、ごめん。寝てた」

大神『お寝坊さんやな。もう夕方やで(笑)』

船星「……そうなんだ』

相変わらず元気な大神に、船星はついていけないので今すぐにでも電話を切りたくなった。しばらく無言でいると受話器の向こうから『大丈夫か?』と心配した大神の声が聞こえてくる。あ、まだ通話中なんだ。そう思い船星は返事をする。

船星「……うん、大丈夫だよ」

大神『ホンマか?なんか、めっさしんどそうやけど。お前まだ体調悪いんか?』

船星「!?どうしてわかるの?」

大神『どないもこないも、イルミネーション行く日、“体調悪い“からドタキャンしたやん自分。それにな最近風邪が流行っとるってバイト仲間が言うてたからなぁ。……ぁッ!?、エエこと思いつ〜いた!船星、今から1時間後にまた電話するさかい。すぐに出てなぁ』

急に通話が切れた。その後きっちり1時間後に大神から電話の着信が鳴る。

大神『船星。俺、今お前の家の前におるねん。部屋入れてくれへん?』

 船星は慌てて部屋のカーテンを開け窓から外を眺めると携帯を片耳にあて、スーパーの袋を2、3袋手に持っている長身の青年(大神)がこちらに気付き身振り手振りで『開けろ』と言っていた。

End

1/9/2025, 3:20:00 AM