こっこ

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寂しさ

私の息子には父親がいない。彼が小さな頃離婚が成立したからだ。
男の子にとっての父親という存在は特別なのだと思う。幼少期祖父母も近くに住んでいて、可愛がってもらったけれど、父親代わりにはやはりならなかった。
息子は穏やかで優しい性格で、私に「何で俺には父親がいないんだよ!」と反抗期の男の子なら言いそうな時も、一切言わず私を責めた事は一度もなかった。
ただ、保育園に通う頃クリスマスが近づくと、「サンタのプレゼントは、パパが良い!」と本気で言ってきたときは、私も困った。
要望に応えられなくてごめんね、と心で詫びて、口では明るく「サンタさんはね〜ナマモノは禁止なんだってー!お肉とか動物もだめなんだよ〜。」と軽いブラックジョークで納得してもらった。
でも、彼が幼い頃お正月などいとこも集まったりする日に、義理の兄が自分の二人の男の子を高い高いしたあと肩車したりする時、とても羨ましそうに見ていた息子の目を、私は鮮明に覚えている。
それと同時に、気の利かない義理の兄にもちょっと残念な気持ちになった。  
「翔太くんも高い高いだぞー。」と一緒に仲間に入れてくれたら息子はどんなに嬉しかっただろう。
彼が歳を重ねて、幾つになろうと心に寂しさを抱えていることは母親ならわかる。
彼も紆余曲折あった。山あり谷ありの人生だ。今は褒めすぎかも知れないけれど、人の痛みが分かる、ある意味私より大人な面が沢山ある人格者になったのでは…。
寂しさも抱えながら、彼はこれからも強く強く生きていくだろう。

12/20/2024, 1:15:40 AM