太陽の下で
───激しい雷雨が明けた翌日。
眩い太陽が灰色の雲から顔を覗かせている。
「ねぇ、何を作ってるの?」
台所からふわっと甘い香りと
野菜たちの香ばしい香りがして
僕は何を作ってるのか気になった。
少し覗いてみると僕の大好物の
野菜炒めとアップルパイをお弁当箱に
詰めたものが机に並んでいた。
「あなた、今日は天気もいいのよ」
君は嬉しそうに三人分のおかずを
お弁当箱に詰めながら口ずさむ。
僕は部屋に引きこもっている祐樹を誘おうと
少しぎこちない笑顔で
「祐樹、良かったら外でご飯を食べないか?」
祐樹はしばらく黙ってから口を開いた。
「……分かった」
少しそっけない返事。
だけれど僕は嬉しいような緊張するような…
そんな気持ちになった。
時間を気にしては支度を済ませ、
車に乗り目的地に向かう。
────目的地に着き
風通しのいい草原で敷物を取り出した。
朝から張り切って作ったお弁当箱と
温かい紅茶を用意し、手を合わせる。
「いただきます」
サンドイッチに色々な具のおにぎり、
僕の大好物の野菜炒めに
前に祐樹が美味しいと言ってた卵焼き。
会話は少ないけれど
川の流れる水音や鳥の鳴き声
自然で溢れてて心地よかった。
無理もないよな…焦らずに仲良くなろう、、
と祐樹の様子を疑いながら
眩い空を眺めていると、
「と、父さん、これ美味いから…食べてみて…」
祐樹は小さい声で照れくさそうに言った。
君は安心したような表情でふふっと微笑んだ。
僕は嬉しくて涙が零れそうになるのを堪え
食べかけの甘い卵焼きを口に入れた。
「うん、、うん、、とても美味しいよ!」
───すぐに仲良くなることは難しいけれど
心を開いてくれるまでそう遠くはないかな。
11/25/2023, 11:20:23 AM