よあけ。

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︰カーテン

窓から入ってくる風は冷たくなりここのところ肌寒い。カーテンの隙間から見える薄くなった青空が秋が来たことを告げているようだ。ふわりとカーテンが膨らむたび光が揺れる。

何かしなければならないと内心焦っているのに体は大の字になってベッドの上にある。まるで死体になったみたいだ。もしかしたらもう既に死んでいて、実はここが死後の世界だったり。

溜息をついた。そんなわけがなかった。だって腹が減った。腹が減っているということは生きているのだ。それに死体は溜息をつかない。

お腹が空いたというぼんやりした思いはそのまま紫煙のように消えていく。風が気持ちいいなと思って、これまたぼんやり消えていく。ぼうっとしていたいと思って、またぼんやり。そうして煙が部屋に篭って、息苦しくなり、ぼんやり不安になっていくのだ。

無理かも、もう無理かも。どうしよう、何も素敵じゃない。いっぱいいっぱいでなにも。行き詰まってる。どうしよう、つまらないなんて……!

食器をガチャンガチャンとわざとぶつけながら棚にしまって、その衝撃で割れたコップと皿を思い出す。むしゃくしゃした気持ちをぶつけて、割れたことにすらスッキリして。頭も同じようにひび割れて粉々になってしまえばいいと。

そんな考えとは裏腹に今穏やかであると感じていた。穏やかであり、胸の内に浮かんでくるぼんやりとした何かが焦燥感を湧き立てる。揺れて、膨れて、弾けて煙を出す。もくもくと煙が充満している。穏やかで重苦しい。

カーテンの揺れに合わせて光が目を照らし出す。次動いたら重い遮光カーテンで閉め切ってしまおうと考えながら、結局面倒臭いなと思って目を閉じた。

10/11/2024, 3:33:30 PM