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きらきらと水面が煌めく

河原の川縁に居る

川が台風の後で
少し増水している

おうい!そんなとこに居たら
あぶねーぞ!増水してるの分かるだろー!

おっさんが向こう岸の道路から自転車を停めて
私を叱咤する

分かってる
危ない事は

だけど

自分が自分で止められない

私はおっさんを無視して
水面を再び見つめる

もう
どこにも居られない

目を閉じて息を吐いた



ーー私がこうなるに至るには
それなりに積み重なる理由があった

まずは
失恋した事

風俗に勤めていることがバレて

彼に振られた事

次に
精神的な障害が発覚して
突如、障がい者となってしまい

仕事をクビになった事

最後に
ストレスからのお金の使い過ぎで
自己破産した事

私は

どうしようもなく
居ても立っても居られない状況に
苦悩して
独りがつらくなり

川縁に座り込んでいた

ごめん

父さん、母さん…

ードボンッ

チカラなく川に落ちた

しばらくして目が覚めた

…あれ

病院のベッドに寝かされていた

そこは精神病院だった

通り掛かりのおっさんが
私を川から助け出して通報したそうだ

私は

病院にて入院生活を余儀無く過ごすことになった

いつ退院出来るのか分からないまま…

一見、精神の障害を持つ人の事を
当事者になるまでは
白い目でどこか見ていた

だけど
一緒に生活して
見方が180℃変わった

それぞれが皆んな
独特の魅力を放っていることがわかったのだ

あの女性は少しポーッとした所があるが
それ以上に何事にもひたむきで
一生懸命に頑張れる所が魅力だ
この子の雰囲気は居るだけで癒されること

あの男性は独り言で自分の苦痛や妄想を呟く
けれど
何を喋っていても
許してしまいたくなるほど目が綺麗で澄んでいる
まつ毛も長く、カッコいい
ロックな人だ

日々それぞれの
個性が光って居ることが
自分には眩しく見えた

皆んな、良いな

けど
それぞれ
皆んなは皆んな
必死なのだ

頑張って日々をどうにか不器用に
過ごして居るのだ

その姿は
皆んな素敵だと感じずに居られなかった

私は
自分の事ばかり考えて
独りよがりで暮らして
独り善がりのわがままで
入院した事を心から悔いた

みんながきらきらして見えて

私は
小さな私を感じた

そして
鬱の症状が落ち着き

退院することになった

改めて
一人暮らしだけれど
私の後ろには

私を心から心配する誰かが
居てくれる

その事を忘れてはいけない

だから

もう自分を責め過ぎない

そう思いながら

退院した

今ノートに
ほぼノンフィクションで
書いている

あの人は今
元気だろうか

9/5/2024, 2:22:39 AM