【小さい頃から、絵を描くのが好きだった。】
目の前に、彼女が立っていた。
人通りの少ない歩道の真ん中に、数年前に見て以降、一度も見なかった彼女が。
【君も、褒めてくれたよね。】
〈君〉という呼び方が鼻についた。
【それで、話すようになった。】
心臓が、煩い。
【いつの間に、唯一無二の親友になってた。】
吐きそうなほど、頭の中が、グワングワンと揺れていた。
【いつからだっけ?】
彼女がこちらに近づく。
息がかかりそうなほど、まつげがあたりそうなほど、いつのまにか近くにいた。
【君が私をいじめ始めたのは。】
彼女は、少し楽しそうだった。
【ねぇ、理由を聞きたいの。】
甘ったるい声が、耳をなぞる。
そのまま、耳の中に、こびりつきそうだった。
光と影
10/31/2025, 1:42:37 PM