小鳥遊 桜

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【閉ざされた日記】


小さな頃、倉庫に入るとワクワクした。
秘密基地みたいで、私だけの場所だったから。

ある日、いつものように、倉庫に行き色々と漁っていると、そこには、1冊の古びた本があった。
ボロボロで、南京錠がついてて。
私は、罪悪感なんてもの一切なく、すごく気になってしまった。
アニメの魔法少女のお話で、見たから。
〝きっとこれを開くとキラキラ光って変身できるんだ!〟
って思った。
……小さな頃の話だからね!今はちゃんとわかるし!


まあ、そんなこんなで南京錠を開ける方法を考えた。
ハンマーで叩いてみたり、足で踏んでみたり、謎の呪文を唱えたり……でも、開くことはなくて。
「そうだ!」
そう言って、本を持って祖父のいる部屋に行った。
「おじーちゃん!この本開けて!」
祖父は不思議そうな顔をして、本を見て
『あぁ。この本か。懐かしいなぁ。じいじと一緒に見るかい?』
「いーの??」
そう言って、祖父は、南京錠の鍵を祖父の部屋の引き出しから出して開けてくれた。

中身は日記だった。
祖父が会社に行って、好きな人に出会い、結婚するまでが書かれていた。
その途中で、古びた写真が出てきた。
「これは、なーに?」
『これは、じいじとばあばだよ。』
と恥ずかしそうに話してくれた。

その後も色々と話してくれた。
公園でお弁当を持っていってのんびりとしたこと、車で景色のいい場所まで行ったこと…
どの話しもすごくキラキラとしていてた。
祖父も『あぁ。あんなこともあったな。』『こんなこともあった。』と、とても嬉しそうに話してた。


あれから何年か経って、祖父の日記は祖父の思い出と一緒に、大切に大切に…時々掃除をして、私の本棚に鍵をつけて保管している。

1/18/2023, 11:29:25 AM