わからない、が本音です。
すきなキャラクターはいる。Aとしよう。イニシャルでもなんでもない。
Aのどこが好きか、と言われると困ります。
たぶんこれは自分だけじゃないと思う。
たとえば、非常に格好いいポーズをとって、しびれる表情をしているAにいいねを押して、その直後に、あざといともいえる、非常にデフォルメの効いたAへ、いいねを押す。
そしてさらにその直後、自然で、リラックスした笑顔をたたえるAにいいねを押し、
ヒドイ怪我をして、くるしそうな表情をするAにいいねを押し、
怒っているAにいいねを押し、
そしてまた、かわいらしいAにいいねを押す。
Aであればなんでもいいと言えば、聞こえは悪い。
しかし、Aのすべてが好きだ、と言えば、自分にとってもいい。
というか、推すってそういうことだ。
【理想のA】
田舎なんかで、日光にあてられて、リラックスした笑顔を浮かべる。
一方で、なにか、ツライ事件にこころを痛めたり、苛まれたり、ときには、川をしずかに見下げたりする。
空のいろと、Aの着るパーカーのいろはまるで違う。空はうすく、パーカーはあざやか。
活発で、最高にいい弟に、てをひかれて、何年ぶりか、土のうえを走ったりするのだ。
それと同時に、やはりツラく苦しい日常も、おくってほしい。
寝室から一歩もでられず、飯をくうにも、吐き気がジャマをして、しかしまだ笑ってられて、うつともいえなくて、それでもAは、太陽光にあたっても、もうなんとも思えなくなってしまっている。
そんなとき、Aは自分を痛めつけるようなマネをするだろうか?
Aには、ゆうひを一度でもいい、みてほしい。
そうして、すこしセンチな気分に浸るのだ。
うみへいってくれてもいい。
さざ波は、彼の背中をゆるやかになでて、砂浜はしがみつき……なみにつれられ、くらげの死骸がごとくいったりもどったりするだけで、きっと沖へはいかないだろう。
彼はしずむからだ。
しかし、弟はいくかもしれない、浮き輪をもって、自分のぐうたらな兄貴をひっぱる。
そんなときでも、Aの弟はバトルスーツを脱がないんだろうな。
Aにはきっと、なにか絶望的なものに直面する瞬間がある。
Aは映画を観るはずだ。
SFがすきらしい。
スターウォーズはいうまでもなく、だいすきだろうと思う。
アクション映画はどうだろう。スパイ映画は?
サスペンス、ミステリー、恋愛……
それともAは、意外とB級映画を好むタチなのか。
Aは、きっとふだん、難しいことを考えないだろう。
目の前の景色に集中して、素直にうけとる。
どうだろう。
ジョーク本のなかに、物理学の本が入っていて、その物理学の本のなかに、別のジョーク本がはいっていて、その中にも、別の物理学の本が入っている、ってくらいだから、もはや、わからない。
Aは自分を見失っているだろう。
ジョークはほんとうにすきだったのか、真面目なのが自分の本性か?それとも、ぐうたらしてるのが性にあってる?
Aの好物はなんだろう、と考えたこともあるが、わかったところで、べつに、Aを構成する主成分が判明したわけでもないので、気にしない。
Aは、誕生日のひに、きっと、弟から掃除機をもらったりするのだ。
いい加減、掃除機の使い方をおぼえて、自分の部屋を片付けろと、メッセージつきだろう。
しかし、Aの誕生日を自分はしらない。
Aはひとりのとき、ただしきりに居眠りをするだろう。
古いマットレスに飛び込んで、舞うホコリを気にもせず、足をくみ、腕をくみ、その腕を枕にするのだ。
しかし、実際のところ、Aがひとりのときなにをするかなんて、知る由もない。
Aには、ときどき誰かに殴られでもして欲しいと思う。
そして、痛む頬に顔をひきつらせながら、ただ仰天して、胸ぐらをつかまれるのだ。
その逆に、思わず、といったていで、弟を怒鳴りつけてしまう瞬間を、Aに体験してほしい、とも思う。
Aへの願望や、理想や、妄想はつきない。
5/20/2024, 11:39:59 AM