『ずっと隣で』⚠️ホラー注意⚠️
月明かりが照らす海辺で、二人は幸せそうに笑って約束を交わした。
「ずっと一緒にいようね」
「うん。ずっとだよ」
二人の少年が手を繋ぎながら、ズブズブと水の中へと突き進んでいく。服のポケットには大量の石が詰め込まれている。首元まで水が来たところで波にさらわれ全身が水に浸かりどんどん沈んでいく。
肺の中に水が入ってくる感覚、息苦しいと考える間もなく意識を失う。
しばらく経って、少年は目を覚ました。目が覚めてしまった絶望感よりも、親友だけが先に逝ってしまったことに対するショックのことが大きかった。
「ずっと一緒って言ったのになぁ」
そう泣きそうな声で殆ど彼とは分からないその肉塊に縋り付く。
それから数年が経ち、生き残った彼は墓参りに来ていた。やっと気持ちに踏ん切りが着き、彼にそのことを伝えに来たようだ。
「――おっと、話しすぎたな。それじゃあ、ずっと隣で見守っていてくれよ」
『ずっと隣で待ってるね』
風に乗せて彼の声でそう聞こえた気がした。
――次の日、彼は遺体で見つかった。彼は家に帰り就寝した際に、溺死した。誰もこの不可解で奇妙な事件に関わりたがらず、事故として処理された。
彼は知らない暗闇にいた。奥に人影が見える。後ろ姿からすぐに親友だとわかった。
思わず走り出して彼を呼ぶ。そして振り返った彼は――顔がぐちゃぐちゃになっていて、肉や脂肪、骨が丸見えの状態だった。
「え……?」
『待ってたよずっと隣でねねねねねねねね待って待って待って待ってままままままままままま』
「ひっ……」
おぞましく変化した親友の姿を見て驚き、後ずさるが、彼?は関係なしに近付いてくる。
「なっ!?」
逃げようとした彼の足は血管のようなツタで固定されていた。それは彼の手首から出ているもので、どんどん体に絡みついてくる。
彼は抵抗するが、意味もなく全身が固定される。
『これでずずずずずずずずっといいいいいいいい一緒』
変わり果てた親友が隣に座る。彼は恐怖で頭がおかしくなりそうだった。そんな時、確かに親友の声でこう聞こえた。
『ずっとだからね!』
二人の結末を見ていた神はため息を吐いた。
「所詮人間か、欲には抗えない。欲のためなら親友を殺し永遠に縛り付けるとは、いやはや恐ろしいものだ」
そう言ってつまらなそうに二人を消した。
「死ぬ間際の願い事を叶えてやったが、失敗だったな。悪霊化するとは、やはり人間は愚かだ」
次の神の暇つぶしの犠牲者は誰なのか、それは神のみぞ知る。
3/14/2026, 1:37:23 AM