お題:忘れられない、いつまでも。
汗の滲むような気温になると、とたんに恋しくなるものがある。
平日の昼休み。ぴったり肌にまとわりつくような湿気の中を突き進んでたどり着いたのはコンビニだ。ドアが開き、冷房で冷やされた空気と軽快なメロディが私を出迎えてくれる。店頭で宣伝される商品に目もくれず、一目散に店の奥の棚へと向かった。
今年はあれはあるだろうか。夏が終わって秋になっても冬になっても春になっても、いつまで経っても忘れられないもの。
目を皿のようにして探すこと数十秒、探し求めていたものを見つけた私は、素早く手を伸ばした。商品名をきちんと確認し、高らかに掲げたい気持ちを押さえながら両手できちんと持つ。
蒸し鶏とオクラの入ったパスタサラダ。私の大好きなパスタサラダ。
初めてこれを食べた時の衝撃は凄まじかった。暑い夏にぴったりのオクラのねばねば、そして体中の不足の穴をすべて埋めるほど満たしてくれるだしの美味しさ。「うっっま」と思わず口にしてしまうほどだった。
思い出しただけで口の端からよだれが垂れそうになる。一年越しの再会は感慨深い。
でもまだ油断はできない。お会計を終えない限り、このパスタサラダはまだ完全に私のものになってはいないのだ。
スキップしそうになる足をゆっくり地面に下ろしながらレジに向かい、お金を払う。「ありがとうございましたー」と店員の声を背に受けながら、パスタサラダを入れた袋を手に職場へと戻る。外は相変わらずじめじめしてるけど、満たされた気分の今の私には気にならなかった。
きっと夏が終わったらまたこのパスタサラダとしばしの別れとなるだろう。それでも私はいつまでも忘れられず、また汗をかく時期になればこのパスタサラダを求めてコンビニに訪れるようになるはずだ。
5/10/2026, 3:00:18 AM