小絲さなこ

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「貝の使い方」



砂浜で探し回ってやっと見つけた。
噂は本当なのか、試す時がついに来たのだ。
高鳴る胸の鼓動。
貝殻をそっと耳に当て、瞼を閉じる。


「いや、それ此処でやったら、波の音がデカくて貝殻からの音って聞こえないんじゃね?」
「あ、そっか」
「それ、二枚貝じゃねーかよ。耳に当てると波の音が聞こえるのは巻き貝だろ!」
「でえええーマジかよ!なんで教えてくれなかったんだよ!」
「いや、普通わかるだろ……」

いや、わかんねーよ。


俺は今、後悔している。
なぜこいつらと海に来てしまったのだと。
確かに俺たち三人は仲が良い。
だが、だからって……
やっぱり、どんな汚い手を使ってでも女子と来るべきだったんだ!
汚い手ってどんな手段か、わかんねーけど。


「つーかさぁ、二枚貝の使い方って言ったら、こうだろ?」

そう言って、悪友は貝ふたつを自分の胸に当てる。

「男がやってもなぁ……」
「ダメかー!」
「なんか、すげー虚しくなってきた」


やべぇ。マジでここにはバカしかいねぇ……



────貝殻

9/5/2024, 3:33:07 PM