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『鏡の国の……』
今日もいつもの日常が始まる。

職場と家の往復。

この生活に苦しみも幸せも特に感じはしない。

毎日を無心で過ごしている。

そんな俺にも趣味のようなものがある。

……いや、やっぱり訂正する。

趣味と言うよりたぶん習慣だ。

俺は毎晩古い鏡を見ながら晩酌をする。

なんとなく小さい頃からその鏡を夜にみている。

何か特別な思い出があるのかというと別にそうでもない。

記憶は曖昧だが、俺が小1になるかならないかのときに叔父にもらった。

叔父が言うことには、おまえは俺に似ているから という理由で俺にわたしてきた。

当時は意味がわからなかったし、今もその時叔父が言ってきた意味は謎のままだ。

その鏡が俺の役に立つのかはわからないが、この鏡を見ているとなぜだかほんの少しだけだが心の疲れがとれる。

最近は、少しはちゃんと使ってやるかなとか考えてる……。

おっと、もうこんな時間か……。

俺は明日も早いからここで終わらせておくか。

(部屋の電気を切る音)

部屋の中で月明かりで光る鏡。

鏡の周りに無数の光が散らばっている。

それが一体なんなのかはよくわからない。

ただ、とても綺麗な鏡の奥には何かがあることだけはわかる。

多分、〝俺〟はそれに気付くことはないだろう。

ただ、いつもと同じ日々を過ごすだけだ。

end





8/18/2024, 2:23:32 PM