レラ

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 臓器提供意思表示カード、私は中学生の時に初めてそういうものがあると知った。授業で習ったのか、何かの本で知ったのか、細かなことは覚えていない。しかし、その時私が抱いた感想は明確に覚えている。それは、「自分には関係ない」だ。悲しい事にその頃の私は、何事にも無関心で自分の事ばかり考えている様な人間だった。
 そんなある日、一冊の本に出会った。「7つの宝石」、たしかそんなタイトルだった。タイトルだけ聞くと、ファンタジー系の作品に思うかもしれない。しかし、内容はファンタジーからは程遠く、現実的なもの、まさしく臓器提供についての内容だった。なぜ手に取ろうかと思ったのか、なぜ読もうと思ったのかは覚えていない。ただ分かるのはその本に深く衝撃を受けたということだけだ。内容は少女が臓器提供に興味を持つところから始まる。そして、実際に提供する際の家族の苦悩も描かれていた。私は自分勝手に生きてきた分、人に何かをするという事を考えた事がなかった。だからその本との出会いは私に少なからず影響を与えたと思う。
 そして今、私は病院のベッド上で様々な管に繋がれて眠っている。正確に言えばベッド上で眠っている自分を私は真上から眺めている。いわゆる幽体離脱というものだろうか。不思議な感覚だ、今にも自分が消えそうな気がする。
 私は、数日前事故に遭った。そして、分かる、もう助からないことも。後悔はないと言えば嘘になるが、自分勝手に生きてきた報いだと思えば、どこか心が軽くなる気がした。それに、嬉しいのだ、やっと誰かの役に立てる事が、それが私自身の救いにもなる。
 最後に願おう、どうか私の臓器が誰かの希望の星になることを。
 

12/14/2025, 6:46:18 PM