風が吹き抜け、空を近くに感じる山頂。
産まれた時から身体が弱く、難病で苦しむ妹を救うため、ここへやって来た。
この辺りに、どんな病にも効く薬草が生えているらしい。
長老の話によると、その薬草が生えているのを数十年以上は誰も見ていないと言っていた。
だが、俺にはそんなこと関係ない。
たった一つの希望だから、俺は全力で探すまでだ。
どれぐらい探し続けただろう?
薬草は全く見つからない。
弱気な気持ちになってきたその時、長老が言っていた薬草を発見した。
一本だけ、他の草に混じりながら生えている。
……崖の近くに。
落ちないよう、必死に手を伸ばす。
なんとか、ギリギリ手が届き、薬草を掴んだが、同時に崖が崩れ、身体ごと下へ落ちていく。
もう駄目だと思ったが、途中の木に引っかかり、なんとか助かる。
薬草は……よかった、無事だ。
死に物狂いで崖を登り、ふらふらになりながら村へ戻った。
村の人に薬草を渡し、妹が寝ている俺達の家へ届けてもらう。
これで……妹は……助かる。よかった……。
足に力が無くなり、地面に崩れ落ち、身体ごと倒れ込む。
俺の身体のあちこちから、血が出ている。
目の力も入らなくなり、目の前が暗くなっていった。
3/2/2026, 10:10:37 PM