「微熱」
「おい!!しっかりしろ!」
またひとりやられた。
―くっそ。数が多すぎる。どうなってるんだここは。
閉鎖的な世界を巡る俺らが、見たこともないやつらと相対する。
―こんなの聞いてない...嫌だ...逃げたい...
「俺達がいかなきゃこの世界は終わるんだぞ!
俺達には戦う以外道はねぇぞ!」
どこからともなく声が聞こえた。
―確かにその通りだが、それが本当に正しいのか...?
―絶対に死ぬと分かっていながら戦うのか...?
―俺は何のために生きているんだ...?
―俺は死ぬために生まれてきたのか...?
混沌とした絶望に包まれる。
体がじわじわ熱くなる。
その時気づいた―
俺の為に、自らを犠牲にするやつらが何億もいることに。
自分を犠牲にして彼らの世界を守ったその証に。
―俺も...守らなきゃ...
男は一歩ずつ、足を踏み出し始めた。
―この世界を守るために―
「おい!!しっかりしろ!」
11/26/2023, 11:41:23 AM