今日も隣りのベランダからハミングが聴こえる。
壁1枚を隔てて顔も知らないお隣さん。
少し掠れた低音の声。
それがなんとも心地よく、初めて聴いたその次の日からこっそり耳を澄ませている。
いつも大体21時過ぎ。
それに合わせてスタンバイする。
もちろん毎日とは限らない。居るときもあれば居ないときもある。
段々冬支度していく空模様。空気もピンと張りつめて冷たく肌に刺さる。
こっそり開けた窓からベランダに腰掛け手にはホットココア。白い息が見える。今日も寒い。
しばらく寒さにまとわりつかれながらぼーっと目の前に広がる星空を見つめる。
空気が澄んで星がよく見える。
今日も知らない音が空気の間を流れていく。
それに合わせるように目を閉じて身体をゆらゆらと動かす。
彼の歌声に身を委ねる。
風に乗ってほんのりとタバコの匂い。
うっすら目を開けると夜空に白い煙がひと筋流れていた。
濃紺の空間にうっすら白い跡。
静かにそれを見つめる。
1日の終わり。
なんて事ない夜空と冷たい空気と知らないハミング。
それを聴きながら僕はいつも呼吸をするのだ。
今日もお疲れさま。また明日ね。
(凍てつく星空)
12/2/2025, 9:36:41 AM