床にビー玉を置くと、のろのろと部屋の隅に転がっていく。初めての一人暮らしは、そんなボロ部屋からだった。
4畳ワンルーム、しかもL字型の部屋だったためにベッドフレームが入らず、仕方なく布団を床に敷いて直寝していた。
欠陥住宅は何かと体調に支障をきたすのだそうで、案の定精神を病んだ。常に目が回っているような感覚と、まとまらない思考。元に戻る方法が分からず仕事を辞めて引っ越した途端、全てが上手くいくようになった。
唯一あの部屋で良かった点は、二面採光だったことだ。部屋は毎日明るくて、それだけは心地よかった。部屋の床が白かったので、光をさらに反射していたのも功を奏していた。
傾いてはいたが、狭いなりに少しでも居心地良くしようと工夫された部屋だったのかもしれない。
最近久しぶりに、そのボロ家の賃貸情報を調べてみたところ、中がきれいにリフォームされていた。
何かあったのかもしれない。
6/4/2024, 11:52:24 AM