“あの子”の結婚式に参列することになったシスターもしくは神父。あの子いわくお世話になったから晴れ姿を見てほしいらしい。自分の気持ちも知らないで。よくも、よくも、こんな……酷いことを……!……しかし、あの子の晴れ姿は誰よりも美しかった。……もう一生手の届かない場所へと行ってしまう悲しみを胸に、祝福の拍手を送った。
「どうでしたか?……みんなに見られると、どうしても少し恥ずかしいですね、自分なんて……」
「いえ、そんなに謙遜なさらないでください。あなたはあの会場の中で誰よりも美しかったですよ。これは、心からの気持ちですから、ね。」
「そ、そうですか……あはは、恥ずかしいですね……恥ずかしいけど、嬉しいや。……今まで、ありがとうございました。貴方から受けたご恩は忘れません。また、手伝いに行きますね。」
「……はい。お待ちしております。是非、来てくださいね。私も、みんなも、喜びますから。」
「はい!」
あの子は無邪気に手を振ってこれからの伴侶の元へ帰る。そして夜には私の知らない表情を見せるのだ。忌々しい、憎い、どうして……。あぁ、知りたくなかった。この世の中はこんなにも残酷だということを。そして、自分がこんなにも醜い人間であることを。
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お題無視
5/18/2025, 5:35:17 AM