これはプロローグだろうか、エピローグだろうか。
枕カバーのズレ、そこに残された数本の髪。
赤褐色の斑点に彩られたティッシュ。
数日前の飲みかけが残るコップ。
去年の夏から網戸にこびりついたままの、粉っぽくなった鳥の糞。
くしゃくしゃに積み重なった、かつてのプリント類。
クローゼットの奥に押し込まれた、初めての作文の賞状。
晴れと曇りの中間。
部屋に差し込む光は、いつもより薄暗い。
なのに、空はあまりにも白く、眩しかった。
いつからか開かなくなった本の天には、うっすらと埃が重なっていて。
いつからか会わなくなった友との履歴には、「今日はありがとう!また誘ってください!」という自分の言葉に、既読だけが添えられたままだった。
ここにいるのは、あの日と同じ自分のはずなのに。
こうなってしまったのは、すべて己の落ち度だろうか。
――いや、もうそれでいい。
それでいいんだ。
4/5/2026, 4:52:45 AM