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お題:突然の君の訪問。

 いつもと変わらぬ穏やかな景色。

『いやー今日は見事な快晴だな』
「そうですね、暫く雨続きだったから晴れて良かったですね」
「そういえば西野さん、そろそろ娘さん達来られるんじゃないですか?」
『おう、そろそろ確かに来るだろうな。
みーちゃんは来月あたりに家族がくるんじゃないかい?』
「確かに来月あたりは誰か来るかもしれません」
『そうか、おっと噂をしてたら何とやらだ。
娘達が来たみたいだからまた後でな』
「ごゆっくりどうぞ」
そうして私は西野さんを見送った。久々に娘さん達会うようで嬉しそうに足早に行かれた。

 今日もこの場所は変わらない、ここは墓地色んな人が静かに眠る場所。
 私も西野さんももう死んでいる。
この世の人ではない、西野さんは病気で私は事故で死んだ。

(私の命日まで未だあるし、お盆はこの間終わったから暇だな)
今日も私は、やることがなくて空を見る。
 


 私の家の墓の前に誰かが来た、知らない男性が私の墓に手を合わせてる。
男性が私のことを呼んだ。
『みーちゃんあの時は助けてくれてありがとう、今までお礼にいえなくてごめん』
その渾名を知ってるのは幼なじみだけのはず、えっ待てあなた幼なじみの泣き虫くんか!?
 確かに君を庇って私はここに居ますが、えっなぜ今訪問!?私は泣き虫くんが見えていないのをいい事にぐるぐる彼の周りを回ってる。
『俺みーちゃんが助けてくれたのに、みーちゃんが死んだことを信じられなくてずっとここに来れなかった。
でも、もう前を向くことにするよ、本当にありがとうね』
 「何だ泣き虫くん、泣き虫卒業できたじゃん…
やっと来てくれた、今まで待ったかいがあったよ」

 彼には私のことは見えてない。
でも私はずっと、ずっと彼がここに来てくれるのを待っていた。
私は死んでから彼は元気かな、泣いてないかな?ずっと心配だった。
やっと君が来てくれた。

「幸せになると呪いをかけてやるから、長生きしなよ」
君には届かないと思うけど、思わず声をかけた。

突然の君の訪問だった、でもとても嬉しかった。
やっとこれで安心できるよ。

8/28/2023, 11:53:38 AM