私には昔仲の良かった友人がいた。よくその子とは灯台に集まり、もっぱらその辺に落ちている木や石を使って遊んでいた。そして、遊んで帰る時には必ずその友人は灯台の近くにある鐘を鳴らしてから帰っていたことを覚えている。私は何となしに、なぜ鐘をいつも鳴らしてから帰るのかと質問したことがある。友人はこう答えた「うーん、なんとなく?挨拶みたいなもんだよ!」と、その時の私は特に理由も無いのに律儀なもんだなと思った。
しかし、そんな友人は私が中学生になるタイミングで病気で亡くなった。その時は大泣きしたことを覚えている。その日から私はあの灯台に行くことはなくなった。
そして時は流れ、私が30歳手前になった時、実家に帰るタイミングが出来た。その時に、友人の実家にも訪れて線香をあげる。久しぶりの友人の顔は私と遊んでた頃と変わらず、無邪気な様子をみせる。
その日、帰り道に何となしにあの灯台に行ってみた。あの友人の顔を見たら無性に訪れたくなったのだ。場所は全然変わりなく、まるであの時からタイムスリップしてきたみたいだと思った。そして、あの時と同じ様に木や石を拾ってみたのは良いものの、やっている事がただの不審者なので止めることにした。そんな事をして、ふと、鐘のあった場所を確認するとそこには変わらず鐘が吊り下げられていた。そして、何となしに鐘に近づいて鳴らそうと思ったが、止めることにした。いつも鐘を鳴らしていたのは友人の方だから、私が鳴らすべきではないと思ったのだ。そして、私がその場を離れようとした時、『鐘が鳴った』それはまるであの時のように、私は思った、待ってたんだなと。
私は今でも時々思い出す。あの遠い鐘の音に思いを馳せながら。
12/13/2025, 11:55:14 AM