「ここ」ではないどこか、別の世界のおはなし。
世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織はビジネスネーム制を敷いておって、
経理部は猫の名前、そしてその経理部に、マンチカンなる入局2〜3年の、ボクっこがおりました。
ボクっこマンチは去年の冬、管理局を敵視しておる組織の世界多様性機構に襲われて、
「非力」と、ストレートに言われました。
『僕は、強くなりたい!』
非力認定が悔しくて悔しくて、
管理局内の精鋭部隊、法務部執行課、実動班特殊即応部門の、優しくて強いツバメ副部門長に、
自分を鍛えてほしいと相談したのが3〜4ヶ月前。
『どんな「強さ」が欲しいのですか?』
ツバメ副部長、ボクっこマンチに聞きました。
『どんな、』
マンチは、ただただ、強くなりたいだけでした。
『どんな……強さだろう?』
マンチは、ただただ、自分を「非力」とバカにした敵対組織の連中を、見返したいだけでした。
たとえ間違いだったとしても、
たとえ、それが自分の仕事でないにしても、
ボクっこマンチは非力ではなく、
敵を追い払える、強いマンチになりたいのです。
そんなボクっこマンチですが
副部長は思うところがあったのか
まずマンチに瞬発的な発想力と道具の応用力と
それから危険予知能力とを鍛えるために
まさかのキャンプ演習を提案しまして。
強くなるための訓練がキャンプ演習って
やっぱり何かの間違いな気がするマンチなのです
(お題回収)
たとえ間違いだったとしても
せめて例として、護身術とかを先に知りたいのです
(回収完了)
…––「マンチカン。今日は、自分で飲料水を集めて、その水でコーヒーやお茶でも淹れましょう」
さて。
週にだいたい1〜2回目安のキャンプ演習の、その日はちょうど、最終日です。
「近くに川や泉はありますが、敢えて、そこを使わないでください。
いくつか道具を用意してあります。それを、自由に使って構いません」
せっかく良い川があるのに、
せっかく間違いなく安全な泉もあるのに、
ツバメはそれを、禁じます。
代わりにツバメはシートにナイフ、重しのブロックにガスコンロ、
様々な道具を並べて、それで水を得ろと言います。
「うう、分からない」
マンチは困ってしまいました。
「どうすれば どうすれば良いんだろう」
ああ、こんな弱気だから、自分は「非力」と言われたんだ。そうに違いない。
マンチはうつむいて、頭を抱えてしまいました。
「応用力です。マンチ」
ツバメが言いました。
まず、何でも、間違っても良いから、行動してみろと提案したのです。
「間違えたら、そこから『何故間違えたか』を考えることができる。
大丈夫。まず、最初に、やってみるのです」
「おうようりょく」
マンチは繰り返しました。
「応用、力」
マンチは再度、繰り返して、
そもそも水とは何か、どうやって集まるか、
まず、たとえ間違いだったとしても、
考えてみることに、したのでした。
4/23/2026, 6:25:37 AM