ふとした時に思い出す。
例えばあの日の授業のこと。
例えばあの日の下校のこと。
例えばあの日の告白のこと。
顔と耳を真っ赤にして、俯いたまま手紙を渡してくれたあの頃の君の事を、今でもずっと覚えている。
手紙の内容だって、もうそんなに覚えてもいないのに、何故かあの時の君の姿だけは昨日の事のようにはっきりと思い出せるんだ。
秋の香りが近付いてきた季節。目を奪われるほど美しい夕暮れが指す教室の一幕で、僕はその手紙を受け取った。
その後君と付き合って、いつの間にか別れてしまって。
そんなどこにでもある、ありふれた青春の一ページを駆け抜けて。
それでも脳裏に焼き付いている告白を、ずっと大事に抱えている。
彼女は元気でいるだろうか。
ふと、あの日の夕暮れとともに、そう思いを馳せるのだ。
11/9/2022, 1:38:33 PM