目が覚めると、そこは夢の中だった。普通なら夢の中なんて気付かないけれど、この夢に見覚えがある。
もう何十年と連絡をとっていない小学校の頃の同級生に囲まれて、今の自分が授業を受けている夢。
「𓏸𓏸さん、ここは?」
「そうですよね。それしかありませんよね」
声を出しているつもりは無いのに、話が進んでいく。肯定する事しか知らなかった過去の自分。
全ての事柄において自分は間違っているんだと思い込んでいた、空っぽの自分。
突然場面が切り替わって、何かから逃げるように崩壊する学校を走っている。こっち、と手招きされて安全地帯の扉を開けた。
目が覚めると、そこは見慣れた天井だった。自分の手には鮮やかな錠剤がたくさん握られている。また失敗したらしい。
次に目が覚めた時は、ここに戻ってこないようにもう一度錠剤を飲み込んだ。
『目が覚めると』
7/10/2024, 1:12:37 PM