夢野かさご

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コンビニで買ったビニール傘をさしてきみと
しとしとと降る雨のなかを歩いた
透明なビニール越しに見える世界は
すりガラスみたいで
それ越しに見るあじさいたちは
輪郭がぼやけて形がつかめなかった
でも何故かきみの横顔だけは
やけにくっきりとしていて
思わず見とれてしまう
雨粒で濡れたそのまつげはいまも鮮明に覚えている
それは夢のようにうつくしくて
このままセロファンで包んで取っておきたいような
でも取っておくことのできないこの儚さがいいような
そんなあいまいなある梅雨の日が
今も私は忘れられないでいる

6/13/2022, 11:09:26 AM