「「…………」」
ゴトンッゴトンッと、観覧車が音をたてながら上へと向かっている。木の隙間から、ちらっと夕日が見える。
ここは遊園地。チケットが2枚当たり、好きな人を誘って言ったのはいいが…
気まずい。
最後に観覧車なんて乗るんじゃ無かった…。話す内容が見当たらなく、ただただ沈黙で外を見ているだけ。
「………ねぇ。さっき乗ったジェットコースターが見える。」
見かねた彼が、指を指して嬉しそうに言う。そんな姿さえ愛おしい。
「そうだね。」
「「……………」」
また沈黙が始まってしまった。
その時だった。
「「あっ…」」
私達は同時に声をあげた。頂上にやってきた途端、遮っていた木が無くなり沈みかけている夕日が自分の目いっぱいに映りこんだ。
「綺麗だね…」
「ね……」
……今なら言えるかも知れない。
私は沈む夕日を横目に、彼に言った。
「伝えたいことがあるの。私………」
#沈む夕日
4/7/2023, 11:11:30 AM