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『友達』

幼い頃、この街に越してきた私は他の人と「目の色が違う」と言う理由で友人が出来なかった。

高校生まで上がり一人の生活にも慣れた頃突然話しかけてきたのはクラスの中でもムードメーカー的存在の女の子。

一時期は周りの人から「調子に乗るな」と言われて来た私だけど、彼女が言ってくれた「友達になろ!」が嬉しくて周りの人達に言い返したのが先日の話。

それからは彼女と二人で遊びに行ったり、学校でお昼ご飯を食べたりと仲良く過ごしていた。はずだったのに……


「悪魔が堂々と人間界に居るとか笑える。私が祓魔師だって知ってたよね?」
「……わ、私はただ普通に暮らしたかっただけなの!」

流れる血に二の腕を抑えながら痛みに耐え、彼女を見るが憎らしいと言う目で私を見るその視線に絶望した。

やはり悪魔と祓魔師では仲良くなれないらしい。
それでも、信じていたい。

「最後に……最期に聞かせて。」
「……何よ。必要以上に話すつもりは無いから。」
「今でも私たちは、友達?」


「は?悪魔と友達に?なる訳ないでしょ。そうした方が油断すると思って言っただけよ。」
ガラガラと何かが崩れる音に私は涙する。
何千年生きていてもこの瞬間だけは、慣れない。

それからの私は殆ど何も覚えていない。
気が付いたら城に戻っていたし鏡を見たら元の姿に戻っていた。家臣の者から事情を聞いて見るとどうやら「まだ」彼女は生きているらしい。かなりの深手を負って居るらしいが。

「……魔王様、もう人間と戯れるのはおやめ下さい。貴女が傷付くだけです。」
「そうね、もう…………人間は信じないわ。」

唯一この城で信頼する家臣の男は苦しそうな顔をした後に私に近寄ると「頑張ったな」と言って頭を撫でてくれた。
彼は幼い頃から共に過ごしている悪魔で腹心で幼馴染。
私の心を守ってくれる優しい悪魔。

だから、どうか……貴方だけは私を裏切らないで。

10/25/2024, 10:23:49 PM