【プレゼント】
裕福な家庭ではなかった
子どもの頃
クリスマスは
年に一度のビッグイベントだった
望んだ物は来なくとも
何かしらのプレゼントが貰えるのだ
しかも
普段はまず買ってもらえない
オモチャの可能性が高い
サンタさんへの
手紙に差入れ
靴下の配置
準備する時間も楽しい
その年届いたのは
見たことの無い作品のプラモデル
見たことは無いが
パッケージの絵から量産タイプの機体
ガンダムで言うザクみたいな役どころだと
すぐに理解出来た
もっと言えば
戦闘用ではなく作業用みたいだ
兎にも角にも組み立てみる
特に説明書はなく
箱の裏に組み立て手順が書いてある
瞬く間に出来上がった
翌日
ヒデノリくんの所に届いた
Zガンダムと対決させた
相手は変形して空中を旋回
目立った装備もないこちらは手も足も出ない
しかし作業用
装甲は丈夫なはずだ
ひとしきり飛び回ったZガンダムは
決戦の終止符を打つため
変形し地上に降り立った
手にしたビームサーベルから強い意志を感じる
対するこちらもクレーンゲームのような手を構える
今しかない
遠距離で戦えない作業用マシンは
意を決して飛び出した
その頑丈さだけを武器に
決死の体当たりだ
ピカピカのZが砕け散る様を見て
少し涙ぐむヒデノリくんの姿が目に浮かんだ
ガシャン
クレーンハンドが飛ぶ
三角の頭も飛ぶ
足も1つしか残ってない
完敗だった
ビームサーベルは
振るう事無く元の位置に収められた
バラバラになった機体は
はめ込む部品が破損しており
子供の俺には
もう元に戻す事は出来なかった
サンタさんズルいぜ
敗北感と共に新しい年を迎えた
その年の夏
お祭りのくじで
ヤツと再会した
さすが量産タイプ
12/23/2024, 12:13:12 PM