ペンギンの搾り汁

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ある朝目が覚めたら、部屋の中にデロリアンがあった。

銀色の角ばったボディに、赤く光る計器類。

マジもんのデロリアンである。

いきなりここに転移してきたとか、そういう感じでは無さそう。
だって、壁に穴が空いてるから。

デロリアンの周りに瓦礫が散乱していて、壁に大穴。
たぶん、空から突っ込んで来たんだろう。

ここはマンションの5階だから、アクセルとブレーキの踏み間違いなんかじゃない。

バック・トュ・ザ・フューチャー2のデロリアンなら、たしか空も飛べたはず。

てなると、ここに来た経緯は納得できるが……もしかして運転手ってドク?

運転席を見てみた。居たよ。

確かに、あのドクが居た。

何から何まで、映画のドク、そのまんまだ。

ただ一つ、割れた頭から脳みそのかけらを垂らしてる点を除けば。

「おーい、おーい、聞こえますかー?」
彼の目の前で、手を振ってみる。
もちろん、反応は無い。
死んでる。

(困ったなぁ……壁の修理代、請求できないじゃん)

私は一瞬肩を落としかけたが、すぐに立ち直った。
思い出したのだ。

今、目の前にあるこの車は、タイムマシンじゃないか!
壁がぶち破られる前に戻って、ドクが死なないようクッションとか置けば、すべて丸くおさまる。

さぁ、時間旅行の始まりだ!

1/22/2026, 1:20:18 PM