奏桜希夜

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「なんでそんなに毎日頑張れるん?」

突然クラスメイトに投げかけられた疑問に何故か言葉が詰まった。癖…としか言いようがないから。

「朝起きて、朝練して、授業真面目に受けて、昼練して、放課後も練習。なんでそんなに頑張れるん?」

関西から転入してきたこの男子はそんなことが気になるようだ。

「…べつに…対して努力してるとは思わないというか…」

頭でまとめながら話す私を待っているように頷く彼を見て続ける。

「んー私は人並みにしかできないから、練習も勉強もちゃんとやるしか道はないの。
例え天才だったとしても才能があったとしても努力しなきゃ開かないし……からかなぁ?」

わかんないやと眉を下げて笑うと彼は瞳を輝かせていた。

「それって、つまり丁寧にやることが癖ってことやんな?最強やん!」

今まで言われたことがないセリフに私は首を傾げた。

「なにが?人並みにしかできないんよ?」

「おまっ…人並み言うて、いつもテストはクラス3位以内やろ?体力テストとか球技大会も活躍するやん?しかも部活は全国常連吹奏楽の部長やろ??なぁにが人並やねん!!!お前どこ目指しとるん!?」

そんな話したことがない彼に何故かとても褒められる。
なんだこれ…?と目を白黒させながらもお礼をいう。

「…ありがとう?」

「あかんっ絶対わかっとらん!!」

頭を抱え上を向く彼を見て何故か笑いがこみ上げてきた。

「…ふっふふ」

思わず声に出して笑うと彼は目を丸くした。

「…あんたがそんな心から笑っとるん、久々に見たわ」

そう言われ笑いながらも思い出す。そういえば、最近はコンクールが近づいて息抜きができていなかった気がするな…と思わず遠い目をした。
その瞬間彼は言った。

「俺は、あんたがよう練習しとる姿キラキラしとって眩しいなぁ思うけど、そうやって笑っとるのみるとそうやっとるのもええなって思うわ」

「……」

思ってもいなかった言葉に言葉が出ない。

「…え…なんで急に黙るん?」

私は赤くなっているであろう顔をそむけ返す。

「…そんな事言われると、褒め言葉なんでしょうけど口説かれてるみたいに聞こえるんです……」

そう返すと彼も顔を赤く染めた。


聞いていたクラスメイト①

「あーー新たなカップルが……てか彼女あんな表情変わるんだ…」

クラスメイト② 

「…あと何日でくっつくか賭けようぜ」


#私の当たり前

7/10/2024, 11:49:04 AM