akichanhonpo

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待ってて

ここで待ってて
お母さんはそう言って出かけた
だから僕は待った
お腹が空いても寂しくても寒くなって暑くなって
それでも誰も来なかった

…トントン
家の中の明かりが点かなくなって
初めて人が来た
お母さんだ!
玄関を開けると知らない人が二人

お母さんは?

僕は待っててと言われたことを伝えた
来た人のうちの一人は色々聞いてきた
もう一人は電話してた
僕は車に乗せられ何処かへ連れて行かれた
お兄ちゃんやお姉ちゃんがいて
美味しい食べ物も出てきた
何日待ってもお母さんが来ることはなかった

-30年後
母だった人が亡くなったと行政から連絡が来た
結局一人だったらしい
財産らしいものも無く骨壷と位牌を
引き取って欲しい連絡だった

受け取った僕は懐かしいけど苦しい思い出の
町を見下ろせる山を登った
頂上付近に穴を掘り位牌を入れて埋めた
その上に骨壷を開け中身を撒いた

ここで待ってて

僕は置き去りにした

あの日の家の中に置き去りにされた思い出と共に
僕は母を見捨てた

2/14/2026, 3:45:13 AM