変わってるよね、という言葉に関しては、もはや悪口と感じるセンサーに引っかからなくなって久しい。
優しい肌触り、敏感肌にも優しい、髪に優しい。
それらの謳い文句が並ぶ商品は、みなお財布にだけは優しくない。
変わってるよね、とまた云われた。
わざと流行遅れの、棚の端に追いやられた商品ばかりのカゴを見下ろす。一瞬こちらを窺う、店員のまなざし。
肌に優しくなくていい、髪に優しくなくていい、周囲の誰も彼も別に優しくしなくていい。私を理解しなくていい。
お財布に優しいことを第一に考えているだけです。だから、セール品に身を包み、特売品を買うばかりの人間のことを、変わっているとか、可哀想とか売れ残りなんて、陳腐な謳い文句でくくらないでください。
(優しくしないで)
※フィクションですのでお気遣いなく。
5/2/2023, 10:36:38 AM