とある二人

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庭のグミの木目当てに集まった可愛い小鳥は狐の気配を感じてだろうか一斉に飛び立った。
羽を羽ばたかせ空に舞い上がる様を見て僕は自分も鳥のように自由に飛んでみたいと強く思った。


調べてみると一番大きい鳥の種類で約15Kg程の重さでもでも必要な翼開長が3メートルは必要になるらしい。また胸筋や重力に逆らう為の羽ばたく力も必要だ。
ならば僕の翼は十数メートル程は必要になってくるのだろうか。

羽が生えた人形といえば西洋の天使の姿を思い出す。
背中……肩甲骨から生えてる様に見えるが、腰から生えてる方が飛ぶ時のバランスが取れるのでは無いかとぼくは考える。


まあ幾ら考えた所で僕に翼は生えないし生える予定もない。凄く残念だ。


飛ぶ、ではないが風の吹く日に傘で空から登場する物語があったなと思い出した。

これなら今すぐに試せるのではないかと部屋を飛び出そうとした所で実は隣でずっと僕の行動を静観していた恋人に抱き締められた。



「これ以上自由なのは困る」



腕の中にすっぽり収まった僕はまるで鳥籠に入れられた鳥のようだった。












鳥のように

8/21/2024, 1:09:18 PM