虹色に輝く道をバギーに乗って走り回る。虹の上にガードレールなんてない。激しいヘアピンカーブをドリフトしながら進み、曲がりきれなければ虹から落っこちる。そうしたら雲から垂れた釣り糸に引っ掛けられてコースに戻される。
そのスリルに魅了されて、僕たちは夜通し虹の上で追っかけっこをした。外が明るくなるまで、毎日のようにやっていた。それがあいつと二人で見た虹の記憶だ。
それから何年が経っただろうか。僕は車でレインボーブリッジを渡ろうとしていた。遠目に見たら白一色、実際に走ってみても道路はただのアスファルト。できた当時は大いに沸いていたけれど、今になればなんの変哲もない通勤路だ。
その道が、封鎖されていた。
おいおい、青島。勘弁してくれよ。レインボーブリッジは封鎖できないからレインボーブリッジなんだろう。などとしょうもない悪態を吐きながら、前も後ろも渋滞中で困っていた。ラジオの情報によれば事故だという。
ようやく動き出しても一車線のノロノロ通行。やっと見えてきた事故現場には、見覚えのあるバギーに見覚えのあるキャラクターの扮装をした人たちがいた。その中にあの時の僕たちを見た気がして、僕は思わずつぶやいた。
「ガードレールがあってよかったな」
2/23/2025, 1:33:19 AM