まぐ

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私は穢れて油膜の張った、薄汚い水だった。
全て洗い流して一生に一度くらい綺麗になりたかった。だから私はありとあらゆる液体をお腹がいっぱいになるまで飲み下し、それを口から何度も何度も吐き出した。繰り返し続けた。胃液も胆汁も何もかも出し尽くした後、私は体の中にまだ赤い水が溜まっていると気づいた。
肌を切り付け傷口を水に浸す。それが濁っていくたびに透明に近づける気がした。肌からは血の気が引いて、青に近い白になって萎びていく。それはどう見ても透明とは程遠かったけれど、私にとっては十分だった。
死ぬ間際、限界まで「透明」に近づいた自分の体を鏡で見た。本当に本当に幸せな気持ちでいっぱいだ──そう思った時、瞳から雫が垂れ落ちた。それは今まで見た何よりも透き通った液体で、私はゆっくりと微笑みながら生涯に幕を閉じた。

5/21/2023, 10:32:07 AM