ぱっと瞼に影が差した。
慎重にゆっくりと目を開く。
暖かくてうたた寝をしてたようだ。ぐっと伸びをしながら起き上がる。今日も快晴。絶好のお昼寝日和だ。
.........はらり。
瞼のあたりから鼻をするりとひとなで。
やわらかな輪郭の和紙に赤い色水をちょんとつけたような、一等美しい花びらだった。
白を染めきらず、しかし根は芯を持ち、そこからふわりと白に寄り添ってくれるような、どこまでも優しい赤。
なあ、まるで君のようじゃないか。
大事に胸に抱き抱えて、ふっと後ろに倒れ込む。
君のために集めた、真っ白な桜が舞い上がった。
4/13/2024, 11:24:44 AM