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 歳を重ねるたびにお正月がつまらなくなるな、と呟くと「そんな悲しいことを言うなよ」と元日が言った。

「だって、もうお年玉もらえないし。仲間を呑みに誘おうと思ったけど、どこも休みなんだ。みんな外に出たがらないし」
「コンビニで酒でも買ってくればいいじゃないか」
「人間ってのは、仲間とワイワイ騒ぎたいものなんだよ」
「仕方がない。じゃあわたしがきみの仲間になってやろう。ほら、さっさと行くよ」と元日がぼくをこたつから引っ張り出したので、渋々買い物に行くことに。

「きみは何が好きなの。ビールかい、それともチューハイかい」
「梅酒が好きだな。甘くてジュースみたいなんだ」
「こどもっぽいなあ。呑みすぎには注意しなよ」
「そういうきみは何が好きなのさ」
「焼酎」
「渋いなあ」

 空気の冷たさに頬を赤くしながらコンビニに入ると、そこにはなんと大晦日が。

「……いらっしゃぃませ。ひぐっ」
「おお、大晦日じゃないか!そんなに泣いてどうしたんだい」と心配する元日。
「人間の皆さんは新しい年の始まりを祝うだけで、年の終わりを祝うことはないじゃないですか。今年もお疲れ様でした、とかばっかりで。自分だって、一回くらいは祝われてみたいんです」
 なんだそんなことかと思ったが、あんまりにも悲しそうに言うのでぼくたちは大晦日を励ましてやることにした。

「きみもお酒飲むかい」
「えと、自分はコーヒーを。初日の出を見るまで起きてなきゃいけませんからね」
「もう過ぎちゃってるよ」
「そんなあ」
「じゃ、旧年おめでとう。それから、明けましておめでとう。乾杯!」

#1 お題『新年』

1/2/2024, 3:32:44 AM