ウツギ

Open App

僕は不真面目で、君は真面目。

僕はちゃんと髪を切って黒縁の眼鏡を掛けていて、君はカラコンに染髪、ピアスまでしている。
見た目だけで言うなら、僕は真面目で、君は不真面目。

けれど、成績は見た目と真逆だ。
僕は数学で20点を取るし、君は90点を取る。
君は国語で100点を取るし、僕は30点を取る。


「賢いのに、なんでバカに見せてるの?」
いつだったか、そう訊いた時がある。

君は笑って、「そりゃあ、めちゃくちゃバカっぽい奴が賢かったら、すげーってなるでしょ? それ狙い」と語った。

「んふ、バカみたいなことするね」
「そーそー、でも全力でバカなことするのって楽しいからさ」
君は銀縁の眼鏡をあげて、ぎっしりと計算式で埋められたノートをめくりながら得意げに言う。

多分、そういうところが君の真面目たる理由だろう。
そして、僕のノートが空白で埋まっていることが、僕が不真面目たる理由だ。

すごくバカらしい話だけれど、その対比がすこしだけ面白い。

3/23/2024, 7:28:26 AM