快晴とは、魚眼カメラで空を見た時に、空に雲が0〜1割くらいしかない、真っ青な空のことらしい。
確か、中学の頃の理科でやったはずだ。
つまり、快晴とは今日のことだ。
一年ぶりに開けたカーテンの、曇った窓から、快晴の空が見える。カーテンから立った埃が、眩しい太陽の光に照らされて目障りだ。
身じろぎをすると、ガサッと音を立てて、足元のお菓子の袋が、移動する。
小さめなテーブルの上に手を伸ばす。テーブルの上には
昨日の夕ごはんのラーメンのカップ、スープに突っ込まれたままの耐熱箸、底にうっすら水が溜まったコップ、開きっぱなしのファッション誌…ごちゃごちゃと置かれたものの中から、スマホを手に取る。
…電源がつかない。
どうやら、昨日充電をさし忘れたらしい。
溜め息をついて、でも、充電器を探すほどの気も起こらないまま、天を仰ぐ。
天井には、LED電球が、しょぼくれた灰色のままぶら下がっている。
このままじゃダメだ、分かってる。
でも、もう無理なのだ。仲良しで、仲間だと思っていた友人たちから言われた言葉が、胸の中に突き刺さって、抜けない。
なんであんなに容易く、見捨てられてしまったのだろう
頑張っていたのに…。
責任を取りなくないみんなの代わりにリーダーを買って出た。
なかなか出ないみんなの意見を引っ張り出して、聞いて、なんとかとりまとめた。
方向性を決め、手を尽くして、みんなが楽しく、真面目に活動できるように計画した。
みんなの愚痴も雑談も丁寧に聞いた。
なのに、たった一回。たった一回、「改善してほしい」「協力してほしい」と自分の気持ちを伝えただけで、みんなから見捨てられた。
残りの僅かに残った、仕上げみたいな仕事を、みんなが勝手にやり遂げて、終わった。
その日から、何もする気が起きなくなった。
外は清々しい程の快晴だ。
だけど、薄暗い部屋の中で、生命維持だけをしてきた一人暮らしの人間には、快すぎて、眩しすぎる。
真っ青な空を、鳩が飛んでいる。
快晴の、澄んだ空の中を、気持ち良さそうに。
あの鳩にはなれそうにない。
もう枯れたはずの涙が一筋伝っていった。
4/13/2024, 1:16:33 PM