龍那

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[それでいい]

「少年」
 探偵さんは、僕を勝手に助手に指名した。
 そして、この事件に関して探偵さんが持ってる情報を全て僕に話してくれた。
 アリバイも。考えられるトリックも。この館の背景も全て。
「これで、大体分かったかな?」
「まあ……全体像は見えるようになりましたね」
 頷くと、探偵さんはうんうんと満足げに頷いた。
「それでいい。君は私が見る限り、1番この事件から遠い」
「はあ、そうですね」
 偶然やってきて、事件に巻き込まれただけだし。
 そんな僕に探偵さんは「それでいい」と笑う。
「君はどこまでも公平な部外者であるべきだ」
 だから、と彼の目が細められた。
「全てを疑っていてくれ」
 私も含めて。君の前では等しく容疑者だよ。

 その言葉の真意を知るのは。
 事件が解決して、彼がいなくなってしまった後だった。

4/4/2023, 11:30:24 AM