腐女子

Open App

《終わらない物語》ホラーです。

なんでこんなことになった。
海へとダイブする車の助手席でパニックになる俺。
ドアが水圧で開かない!
けど窓はまだ水面より上だ、窓が開いた!
窓から無理やり体を出し、なんとか脱出できたが、運転席の女はそのまま海に沈んでいった。




先週の話だ、みゆきが話があるというので仕事が終わった後に彼女のアパートに寄った、そこで俺の子供が出来たと言われたのだ。
「ほらエコー写真見て、まー君との子供嬉しいっ」
みゆきは浮かれたように笑っている。
俺も絶対に喜んでくれると疑ってもない様子だ。

思わず現実逃避したくなったが、俺の考えをみゆきにちゃんと言わなくてはいけない。
このままズルズルとみゆきの言いなりになるのはまずい。
『・・・本当に俺の子か?俺はまだ結婚したくない』

「え?」

『堕してくれ』

「え?どうして?嫌だよ、堕ろすのなんで絶対嫌っ」
みゆきがポロポロ涙をこぼしながら泣く。


『とにかく俺は認知しないから』と言い捨て、泣いてるみゆきを放置し逃げた。

面倒事は嫌いだ、楽しいことだけしていたい。
今までだって面倒事からは常に逃げてきた。
今回も逃げられるはずだ。



『絶対に終わらせない、終わらないから・・・』
部屋に残されたみゆきは泣きながら呟く。



翌日、みゆきからLINEが来た。
「昨日は感情的になってごめんなさい、よく考えた結果堕すことに決めました、最後にお腹の中の赤ちゃんと3人で思い出のデートがしたいです」

俺は心底ホッとした。
堕してくれるならデートくらいお安いもんだ。
3人でデートとやらでみゆきの気が済むなら、ということで来週の休みにデートすることにした。

そして迎えたデート当日。
俺のアパートまでみゆきが車で迎えに来た。
『俺が車出さなくて良かったのか?』
「うん、今日は私の行きたいところに付き合ってもらうし、私が車出すよ」
もしかして子供のことを何か言い出すのではと、警戒していたが、普段と変わらない様子のみゆきに俺の緊張もほどけていった。

その後はみゆきの言うがままに、買い物に付き合ったり、行ってみたかったという洋食店で食事をしたりした。
夜がふけてきた頃みゆきが海沿いをドライブしたいというので、助手席でのんびりドライブを楽しむことにした。
「海に着いたら起こすから寝てていいよ」と言われたので、俺は助手席で遠慮なく寝た。


そして、話は冒頭に戻る。



みゆきが車で海に突っ込んだのだ。


衝撃で目が覚めた俺は、なんとか脱出し海を泳いで岸の方へ向かったが、海藻か何かが足に絡まる。
俺は手を足の方に伸ばし、海藻を引きちぎったが今度は手に絡みついてきた。
俺は慌てて何が絡みついているのか確認した。

それは髪の毛だった。
無数の髪の毛が手に足にと絡みついてくる。
『ひいぃーっ』

俺は髪の毛を振り解くようにして、手足をばたつかせながら必死に泳いだ。

だが、髪の毛が絡みつく方が早く俺の顔にまで絡みついてきた。
目が!目が見えないっ!
そして口の中にまで髪の毛が大量に押し入ってきた。
『ぐぇ、、っ』
そして俺はそのまま引きずられるように溺れていった、、。


薄れていく意識の中でみゆきの声が聞こえた。
「・・・これから3人でずっと一緒だよ、終わらない物語の始まりだね」

1/25/2025, 12:15:22 PM