27(ツナ)

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「そっと包み込んで」

明るいところは苦手だ。
太陽の光の下になんて行けば、わたしは忽ち消滅してしまうだろう。
なぜかって?
それは…わたしが吸血種族の末裔だから。

普段は居酒屋とか深夜バイトを色々やっている。

そんなわたしに、ある前代未聞の出来事が起こった。
バイト先の居酒屋で出会った女だ。
女は会う度いつもわたしに笑顔で話しかけてくる。最初は鬱陶しかったが次第にわたしの心は女へ興味を抱いた。
そして、わたしは太陽の下の世界に憧れた。

どうしてもあの女に近づきたくて、わたしは恐る恐る太陽の下へ足を踏み出した。
身体中に突き刺すような刺激を受ける。
5歩進んだだけでわたしはその場にくずおれた。
すると、突然真っ暗な暗幕のような物に包み込まれた。
「きゅーさん!?ちょっと、大丈夫ですか!?」
きゅーさんとはバイトの時のあだ名のようなものだ。吸血鬼だからきゅーさん。
「うぅ……あ、ありがとう。もう少しで消滅するところだった。」
「あはは!まーた吸血鬼ネタ?さすが。でも、この暑さで脱水か熱中症なっちゃったぽいね。とりあえず、病院いこ。」
彼女の優しさに包まれて、わたしは病院へ連行された。



5/23/2025, 11:33:33 AM