籠を一つ、胸に抱く
抱いた籠は、どうやら力を入れすぎてしまったらしく
きしんだ音が鳴った
中に入っているのは小さな鳥
罠に掛かってこんな人間の手に落ちた、運の悪い子
今は怯えているのか、震え、丸くなっていた
「大丈夫、怖くないよ、ここは安全。」
甘い声音で嘘を吐く
本当は安全では無いくせに
それでも、小鳥は騙されなかった
さっきより一層強い目をして、威嚇してきた
あぁ、残念
もし懐いて貰えたなら、
それが駄目でも信用さえしてくれたら
あの子は殺さずに済んだのに
形が歪むまで力を入れられた籠の中には、
まだ、あの子の命の温もりが残っていた
もういなくなっていたとしても
10/7/2024, 11:18:08 AM